この記事をご覧の方は、「アレルギー物質の「くるみ」の表示が義務になった」という話を耳にした方かと思います。
2023年03月09日に「食品表示基準」が改正されたことにより、今まで「推奨」であったアレルギー物質「くるみ」が「義務」となりました。
すでに法令は改正され「速やかな変更が必要」というのが、注意ポイントです。
経過措置期間は、2025年3月31日迄なので「まだ対応できていない!」という方は、以下を参考にしつつ、対応を進めていただければと思います。
🔰 法令改正の概要
今回の法令改正の概要をまとめてみました。
改正日 | 2023年03月09日 |
対象者 | 全事業者 |
対象食品 | 全食品 |
経過措置期間 | 2025年03月31まで |
改正内容 | 下記参照 |
想定される影響 | 並び順の変更、近似種「ペカンナッツ」使用時の注意表示など(それぞれ下記で説明) |
🏢 今回の改正内容
改正後 | 改正前 | |
---|---|---|
特定原材料 (別表第14) | えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(8品目) | えび、かに、【新設】、小麦、そば、卵、乳、落花生(7品目) |
特定原材料に準ずるもの (通知で措置) | アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、【削除】、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン | アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン |
🥐 想定される影響
概要に続いて、今回の改正によって事業者にどういった影響があるのかをまとめてみました。
🏢 今まで「義務(特定原材料)7品目のみの表示」を行っていた事業者は・・
今まできちんと、義務・推奨を合わせた「アレルギー物質(アレルゲン、特定原材料等)表示」を「28品目」で行っていた事業者に大きな影響はありません。
しかし、表示義務(特定原材料)「7品目」のみで表示を行っていた事業者には大きな変更となります。
やるべきこととしては、以下の通りです。
- 現在扱っている商品に使用されている原材料の「アレルギー物質(アレルゲン)」を確認し直す。
- すべて「8品目」or「28品目」のいずれかで表示されていることを確認し、「8品目」or「28品目」でない場合はメーカーに問い合わせを行い「8品目」or「28品目」の表示を出していただく必要があります。
- 原材料の「アレルギー物質(アレルゲン)」に基づいて、商品の「アレルギー物質(アレルゲン)」を修正する。
- これを機に、義務・推奨を合わせた「28品目」で管理することをオススメいたします。次は恐らく「カシューナッツ」が、義務に追加となります。
📙 アレルギー物質「くるみ」の並び順の変更
地味に気になるのが、「アレルギー物質の並び順が、どう変わるか」だと思います。
本来アレルギー物質の並び順は、法令で決まっていません。しかし、消費者が読みにくくなってしまうために、慣習的に食品表示基準で定められた順番で表示するのが一般的になっています。
「改正前」と「改正後」の並び順の変化は、以下の通りです。
改正後 | 改正前 |
---|---|
えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン | えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン |
🥜 「くるみ」と近い「ペカンナッツ」を使用した食品について
消費者庁は、今回の「くるみ」の義務化を受けて「くるみアレルギー」を持っている方が、同様に「ペカンナッツ」についてアレルギー症状の可能性があることから、注意喚起を行っています。
具体的には、「ペカンナッツ」を原料・加工した食品については、以下の文言を一括表示枠外に表示することが好ましい、としています。
- 本品はペカンナッツを含んでいます。くるみアレルギーの方はお控えください。
🚨 アレルゲンの効率的な管理方法(紙・PDF・Excelで管理している企業向け)
アレルギー物質の管理において重要なのは、「アレルゲン管理をシステム化すること」です。
Excelなどで管理すると、どうしても人の手が入ります。
そうするとミスが生まれ、それを防ぐために「二重チェック」や「三重チェック」が必要になり、それをしたとしても「前の人がチェックしているから」もしくは「後の人がチェックしているから」と油断が生まれ、ミスが生じてしまいます。
規格書を紙・PDF・Excelで管理されている企業様は、この作業を手作業ですることが多く、特にミスが起こりやすくくなっています。
そこで、アレルギー物質を管理するシステムを利用するという方法があります。
🔧 効率的に「アレルギー物質(アレルゲン)管理」ができるツール
ここからは、弊社サービスのお話になりますが、「アレルギー物質(アレルゲン)管理ができるシステム」を提供しています。
まず、規格書を管理・作成することができる「スマート食品規格書」。無料から始めることができます。
各原材料に対してメーカー・卸から「アレルギー物質(アレルゲン)」を初めとした原材料情報を受け取れ、自社内での手入力ミスを防ぐことができます。また、法令の改正に自動で対応するので迅速に対応が可能です。
原材料メーカーや卸などの帳合先からデータを送っていただく必要がありますが、現在 3,500 社以上が導入しており、国内の大手メーカーの導入も進んでいるので、対応してもらえるところも多いかと思います。
また食品表示については、自動的に計算できる「スマート食品表示」があります。こちらは14日間の無料体験期間があります。
こちらのシステムを使うと、原材料情報を元に食品表示を自動で生成するため、「アレルギー物質(アレルゲン)」について表示事故を防ぐことができます。
単独でも利用可能ですが、上記の「スマート食品規格書」で受け取った原材料を選択してレシピを作るだけで、食品表示の計算とラベルデザインまで自動的に行なってくれるので、普段の作業を非常にラクにしてくれます。
ぜひお試しください!
🐿 「くるみ」が義務となった経緯
そもそもですが、今回なぜ「くるみ」が義務となったのでしょうか。
それは、消費者庁の調査により、ここ最近「くるみ」のアレルギーが急増していることが原因です。
具体的にどれくらい増えているのかを表にしてみました。
調査年度 | 症例数(件) | 症例順位 | ショック症例数(件) | ショック症例順位 |
---|---|---|---|---|
2012 | 40 | 9 | 4 | 10 |
2015 | 74 | 8 | 7 | 8 |
2018 | 251 | 4 | 42 | 4 |
2018年度調査では、前回調査(2015年度調査)と比べて症例数が3倍以上、ショック症例に至っては6倍と、明らかに深刻化していることが分かります。
⌛ アレルギー物質(アレルゲン)の法令改正の頻度、次の改正について
今回、大きな作業が発生する事業者様もいらっしゃるかと思います。
今後こういったことが、どれくらいの頻度で起こるのか、目安となる表をご用意しました。
突然改正となることもあるため、あくまでも目安となりますが、今後の参考としていただければと存じます。
年月 | 前回からの間隔 | 内容 |
---|---|---|
2001年03月 | – | 義務:5品目 推奨:19品目 |
2004年12月 | 約3.5年 | 義務:5品目 推奨:20品目(「バナナ」追加) |
2008年12月 | 約4年 | 義務:7品目(推奨から「えび」「かに」が移行) 推奨:18品目 |
2013年09月 | 約5年 | 義務:7品目 推奨:20品目(「カシューナッツ」「ゴマ」追加) |
2019年09月 | 約6年 | 義務:7品目 推奨:21品目(「アーモンド」追加) |
2023年03月 | 約3.5年 | 義務:8品目(推奨から「くるみ」が移行) 推奨:20品目 |
20??年??月 | ? | 義務:9品目?(推奨から「カシューナッツ」を移行検討中) 推奨:19品目? |
以上、だいたい3.5 ~ 6年で改正となっています。継続した事業を行っていると、一回は遭遇しそうな年数ですね。
現在、「カシューナッツ」の症例が非常に増えており、早期に「推奨」から「義務」に移行すべきだという話が出てきています。
その際、①アレルギーの表示漏れが起こる、②確認業務が非常に増える、といったことがないように、今のうちから「28品目での管理を徹底する」など、準備を進めておくことをオススメいたします。
💬 ご不明点・ご質問・ご要望
以上のご説明で、分かりにくいところがあったり、ご意見・ご要望があれば、「スマート食品規格書」もしくは「スマート食品表示」内の画面右下の「吹き出しマーク」から、内容を送信ください。
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