今までも一部の食品について「遺伝子組み換え」の表示が義務となっていましたが、このルールが2023年4月以降改正となります。
この改正、非常にややこしいことになっています。(詳細は後ほど)そのため、この記事一つですべてが分かるように、なるべく分かりやすく説明したいと思います。
またこの改正に伴い、食品を製造する事業者は、「具体的に何をしたらいいの?」という疑問についても解説します。
🔰 対象は誰か
今回の法改正、食品に関わっている「全事業者が対象」と言えますが、実際のところ「食品表示に記載されている組織」の対応が必要、と考えて良いかと思います。
🌽 対象の食品はどれか?
まず、この「遺伝子組み換え農産物を使用した食品」について、あまり詳しくない方のために「遺伝子組み換えの表示の法律が関わってくる食品」をおさらいしたいと思います。(改正の対象は、後ほど説明します。)
遺伝子組み換えの表示の法律が関わってくる食品については、大きく分けると以下2つがあります。
- 食品表示基準「別表十六、別表十七」に該当する食品
- 自主的に「大豆(遺伝子組み換えでない)」など「遺伝子組み換えに関連することを記述している食品」
それぞれ詳しく見てみます。
📕 食品表示基準「別表十六、別表十七」に該当する食品
食品表示をする方のためのルールブックとして「食品表示基準」があります。
こちらの「別表十六」「別表十七」に遺伝子組み換えの表示が必要な食品について、リストアップされています。
対象農作物(別表十六) | 加工食品(別表十七) |
---|---|
大豆(枝豆及び大豆もやしを含む。) | 1. 豆腐・油揚げ類 2. 凍り豆腐、おから及びゆば 3. 納豆 4. 豆乳類 5. みそ 6. 大豆煮豆 7. 大豆缶詰及び大豆瓶詰 8. きなこ 9. 大豆いり豆 10. 1から9までに掲げるものを主な原材料とするもの 11. 調理用の大豆を主な原材料とするもの 12. 大豆粉を主な原材料とするもの 13. 大豆たんぱくを主な原材料とするもの 14. 枝豆を主な原材料とするもの 15. 大豆もやしを主な原材料とするもの |
とうもろこし | 1. コーンスナック菓子 2. コーンスターチ 3. ポップコーン 4. 冷凍とうもろこし 5. とうもろこし缶詰及びとうもろこし瓶詰 6. コーンフラワーを主な原材料とするもの 7. コーングリッツを主な原材料とするもの(コーンフレークを除く。) 8. 調理用のとうもろこしを主な原材料とするもの 9. 1から5までに掲げるものを主な原材料とするもの |
ばれいしょ | 1. ポテトスナック菓子 2. 乾燥ばれいしょ 3. 冷凍ばれいしょ 4. ばれいしょでん粉 5. 調理用のばれいしょを主な原材料とするもの 6. 1から4までに掲げるものを主な原材料とするもの |
なたね | |
綿実 | |
アルファルファ | アルファルファを主な原材料とするもの |
てん菜 | 調理用のてん菜を主な原材料とするもの |
パパイヤ | パパイヤを主な原材料とするもの |
からしな |
上記の食品は、表示が義務付けられているものですが、それ以外の食品についても任意で表示が可能です。
📙 自主的に「大豆(遺伝子組み換えでない)」など「遺伝子組み換えに関連することを記述している食品」
特に今まで「遺伝子組み換えを使っていない」ことを食品表示欄でアピールしていた食品については、気をつけてください。
🔰 どう変わるのか?
この部分がもっとも気になっている部分かと思います。
まず、今回の改正は「大豆・とうもろし」だけが変更の対象となります。
改めて、遺伝子組み換えにおけるルールと一緒に確認したいと思います。(変更部分をハイライト、IPハンドリングについての説明は後述)
🕒 改正「前」( 2023年4月以前)
- IPハンドリングしてない:「遺伝子組換え不分別」と表示【義務】
- IPハンドリングしてる
- 混入がある:「遺伝子組換え」と表示【義務】
- 意図しない混入がある
- 大豆・とうもろこし
- 5%以下
- 「遺伝子組換えでない」と表示可【任意】
- 5%超過
- 「遺伝子組換え不分別」と表示【義務】
- 5%以下
- 大豆・とうもろこし以外
- 「遺伝子組換え不分別」と表示【義務】
- 大豆・とうもろこし
- 混入無し(不検出):「遺伝子組換えでない」と表示可【任意】
🕓 改正「後」( 2023年4月以降)
- IPハンドリングしてない:「遺伝子組換え不分別」と表示【義務】
- IPハンドリングしてる
- 混入がある:「遺伝子組換え」と表示【義務】
- 意図しない混入がある
- 大豆・とうもろこし
- 5%以下
- 「分別生産流通管理済み」と表示【任意】
- 5%超過
- 「遺伝子組換え不分別」と表示【義務】
- 5%以下
- 大豆・とうもろこし以外
- 「遺伝子組換え不分別」と表示【義務】
- 大豆・とうもろこし
- 混入無し(不検出):「遺伝子組換えでない」と表示可【任意】
🚚 何がややこしいことになっているのか
上記だけ見ると、混入率 5 %以下のときだけ「分別生産流通管理済み」にすればいいのね。」という気もします。事実、それで問題のない方もいます。
しかし、ここで気をつけなければいけないのは、現在流通している「遺伝子組換えでない」という表示には、以下の2つが存在しているということです。
- 遺伝子組換えでない(混入率:5%以下、主に2023年4月以前に製造)
- 遺伝子組換えでない(混入率:0%、主に2023年4月以降に製造)
📖 いったい何をしたらいいの?
「遺伝子組換でない」と書かれた原材料を使って「遺伝子組換えでない」と表示したい時、帳合先(卸・メーカーなど)に、「混入率が 0 %(未検出)」であることを必ず確認、もし「混入率が 5 %以下」だった場合、「分別生産流通管理済み」と表示してください。
さらにややこしくなってしまいますが、「大豆・とうもろこし以外」については、以前から「遺伝子組換えでない」と表示できる条件が、混入率が 0 %のみなので、改めて確認する必要はありません。
🚨 普段から気をつけることは?
重要になるのは、「IPハンドリング」と呼ばれている作業です。
この「IP(アイ・ピー)」とは「Identity Preserved(アイデンティティ・プリザーブド)」の略で、意味としては「同一性保持」となります。
つまり、「遺伝子組み換え」は「遺伝子組み換え」、そうでないものはそうでないもの、きちんと分けて管理する、ということです。
管理といっても、実質的には以下の2つがあると思います。
- 物流の管理
- 書類の管理
皆さんのほとんどは、原材料メーカーの商品を使って食品を作る側方がほとんどだと思いますので、実質的には「書類の管理」が重要になってきます。
この書類の管理、皆さまは仕入れている食材の「規格書」(仕様書・カルテとも)を入手される方がほとんどだと思います。(「規格書」って何?という方は、自社が違反とならず、自社を守る重要な書類なので、ぜひ覚えておいてください。)
この規格書に記載されている原材料に「遺伝子組換えでない」などが記載されていると思いますが、一緒にIPハンドリングの証拠書類などを管理することになります。
表と画像などを一緒に管理しないといけないため、この作業をExcel(エクセル)や手作業などで管理をするのは、非常に困難で、ミスの原因にもなってしまいます。
そこで、IPハンドリングを効率化できるツールがあります。
🔧 効率的に「IPハンドリング」ができるツール
ここからは、弊社サービスとなりますが、改正によってややこしい状態になっている「IPハンドリング」についてもカンタンに管理、また自動的に食品表示の計算をするシステムを提供しています。
まず、規格書を作成・管理することができる「スマート食品規格書」です。無料で始めることができます。
下記のように、食材の原材料に対して遺伝子組換えの情報を確認することができ、またそれぞれに対して証拠書類を添付することができるため、「保健所」や「農政局」から製造現場に突然の調査があったとしても、迅速に対応が可能です。
確認のためには、原材料メーカーや卸などの帳合先からデータを送っていただく必要がありますが、現在 2,500 社以上が導入しており、国内の大手メーカーの導入も進んでいるので、対応してもらえるところも多いかと思います。
また、食品表示については、自動的に計算できる「スマート食品表示」があります。こちらは14日間の無料体験期間があります。
こちらのシステムを使うと、自動的に2023年4月以前に「遺伝子組換えでない」となっている表示について、「分別生産流通管理済み」と表示を自動で訂正するなど、表示の事故を防ぐことができます。
単独でも利用可能ですが、上記の「スマート食品規格書」で受け取った原材料を選択してレシピを作るだけで、食品表示の計算とラベルデザインまで自動的に行なってくれるので、普段の作業を非常にラクにしてくれます。
ぜひお試しください!
💬 ご不明点・ご質問・ご要望
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